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判示事項の要旨: 社会保険庁に勤務していたAが自殺したことについて,「Aの上司は,通常の注意をもってすれば,Aの超過勤務,担当業務及び職場環境の実態を正確に認識することができ,かつ,直ちにこれに対する具体的措置を講ずることが可能であったにもかかわらず,これを漫然と放置したばかりか,悪化しつつあったAのうつ病に配慮することなく,さらに過重な業務を強いられる部署への配属換えをした。」として,被告の安全配慮義務違反が認められた事例 主 文 1 被告は,原告らに対しそれぞれ金3591万6921円及びこれに対する平成15年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は,これを3分し,その1を原告らの負担とし,その2を被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告らに対しそれぞれ金6129万6794円及びこれに対する平成9年4月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 第1項につき仮執行宣言 第2 事案の概要 1 本件は,国(被告)の機関である社会保険庁に勤務していた公務員であるA(以下「被災者」という。)が平成9年4月5日に自殺したことにつき,被災者の両親である原告らが,被災者が自殺したのは,同庁において被災直前に連日の過重な時間外労働等をしたことなどにより反応性うつ病に罹患したことが原因であり,被告には公務員に対する安全・健康配慮義務に違反した過失があると主張して,被告に対し,安全配慮義務違反による債務不履行ないし国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求として,逸失利益,慰謝料,弁護士費用から支払済みの遺族補償一時金,退職金を差し引いた各6129万6794円及びこれに対する平成9年4月5日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。なお,被災 者の死亡については,人事院が,公務上の災害に認定すべきである旨の判定をしている。 2 争いのない事実 (1) 当事者 ア 原告Bは,被災者の父,原告Cは,被災者の母である。 イ 被告は,平成5年4月1日,被災者を国家公務員として採用し,被告の設置する社会保険庁にて,職員(厚生事務官)として稼働させていたものである。 (2) 被災者の経歴,職歴 ア 被災者は,昭和48年5月4日,原告B,原告Cの間に出生し,平成5年3月31日,山梨学院大学附属高等学校を卒業した後,同年4月1日,社会保険庁に入庁し,同月13日,社会保険業務センター業務部業務第1課支払第6係に配属された。 イ 被災者は,平成8年4月1日,社会保険業務センター中央年金相談室相談業務課電話相談係に配属された。同係の構成は,職員13人及び非常勤職員である年金相談専門員(以下「コンサルタント」という。)11人であり,被災者は,下記(ア)記載の本来の業務のほか,(イ)記載の業務も担当していた。 (ア) 電話相談係における業務 ① 出勤時の職場環境の整備 午前9時5分までに,磁気カードを職員とコンサルタントに配布し,午前9時15分までにビデオ24台,プリンター3台及びACD(監督台)の立ち上げ作業を行い,夜間と昼の切替確認を行うなど,18項目の業務 ② 回付票の内容のチェック及び死亡保留依頼のチェック ③ コンサルタントらの休憩時間表の作成,弁当表の配布,消耗品の管理,経費の管理,資料の送付・業務連絡の徹底及び新聞・広告の配布などの雑用的業務 (イ) 本来の係業務以外の業務 ① 管理係の文書のコピー・回覧の配布 ② 管理係の発行する諸通知,連絡事項等の事務の一部及び第一種指定職員の指定簿の作成作業等の一部 ③ 年金関係,健康保険関係等業務上必要と思われる新聞記事のチェック,切り抜き作業 ④ 受給者等からの照会に対する年金相談業務及び電話相談係内の庶務的業務 ウ 被災者は,平成9年4月1日付けで,社会保険業務センター総務部庶務課人事係に配置換えとなった。人事係での業務は,昇給・昇格関係資料の作成であり,その内容は,人事異動通知書作成,職員座席表の作成などであった。人事係では,前任者からの引継書がなく,上記資料等は4月6日から9日の間に作成をしなければならないものであった。 (3) 被災者の自殺と公務災害認定 被災者は,平成9年4月5日,飛び降り自殺を図り,同日死亡した。 原告らは,平成9年4月,被災者の死亡につき,社会保険庁に対し,国家公務員災害補償法に基づく公務上の災害と認定するよう申し立てたが,同庁は,平成11年11月22日,公務上の災害ではないと認定した。これについて原告Bは,人事院に対して審査を申し立て,人事院は,平成14年12月17日,被災者の自殺について,公務上の災害と認定すべきである旨の判定をした。 (4) 被告の安全配慮義務 人事院規則10-4は,各省各庁の長は,国家公務員法及び人事院規則の定めるところに従い,それぞれ所属の職員の健康の保持増進及び安全の確保に必要な措置を講じなければならないとしており,国は,職員たる国家公務員に対し,国が公務遂行のために設置すべき場所,施設もしくは器具等の設置管理又は公務員が国もしくは上司の指示のもとに遂行する公務の管理にあたって,公務員の生命及び健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務(以下「安全配慮義務」という。)を負っている。 3 争点 (1) 被災者の業務時間,業務内容が過重であったか否か。 (2) 被災者のうつ病の罹患及び自殺が業務によるものか否か。 (3) 被告の安全配慮義務違反の存否及び被災者の自殺と安全配慮義務違反との因果関係の存否。 (4) 消滅時効(国家賠償請求に関する部分) (5) 損害 第3 争点に対する当事者の主張 1 業務時間の過重性及び業務内容の過重性について (1) 原告らの主張 ア 業務時間 被災者の時間外労働時間(超過勤務時間)の算定は,実際の労働時間から所定労働時間を控除する方法によるものとし,解錠施錠簿を基本とする。所定労働時間は,午前9時から午後5時15分の8時間15分から,休憩時間1時間を引いたものとする。時間外労働には英語研修も含めるべきである。 被災者の所定労働時間及び超過勤務時間(時間外労働,時間外の語学研修等勤務時間)は,下記のとおりである。 所定労働時間 超過勤務時間 ①平成8年10月 151時間 46時間31分 ② 11月 145時間 66時間11分 ③ 12月 111時間45分 64時間41分 ④平成9年 1月 129時間15分 90時間33分 ⑤ 2月 130時間30分 66時間09分 ⑥ 3月 137時間45分 108時間48分 ⑦直前1週間 36時間15分 60時間35分 これらによれば,被災者の死亡直前6か月の時間外労働は,平成8年10月7日から平成9年4月4日で477時間5分となる。 業務時間から導かれる業務の過重性については,労災認定の基準(厚生労働省告示1063号)が,被災直前1か月間の時間外労働時間が100時間を超える場合には,原則として脳心臓疾患について業務起因性が認められ,月平均80時間を超える時間外労働の場合には,原則として脳心臓疾患による死亡は時間外労働によるものであると認定していることを参考とし,本件における被災者の時間外労働時間が月平均79.5時間に及んでいることからしてその業務は,時間において過重といえる。 イ 業務内容 第2の2(2)記載にかかる業務など全36項目にわたる通常業務自体が過重であったことはもちろんのこと,本来の業務以外の雑用的業務,管理係の担当すべき業務,電話相談係内の人間関係の調整,直接の上司でない上役からの指示による業務の負担など,被災者の業務内容は過重であった。 (ア) 電話相談係在籍時の業務 300件に上る回付票のチェックはオンライン稼働中に行う作業で,年金受給者への支払額に直接影響する業務であることから,常に時間を気にしつつ,間違いのないよう気を配る必要があった。雑用的業務についても,弁当の注文をとり,配る作業は,午前10時までという時間制限があり,注文取りの順番,種類,金額の間違えがないよう気を配るなど心理的ストレスの多い仕事である。コンサルタントの休憩時間表の作成も,人間関係に気を配りながら二十数人分の休憩時間表を作成するのは負担であった。ミーティングの資料の作成配布,コピー等についても,資料が多く,作業は煩雑であったし,基礎年金番号制の導入後は,さらに資料が増えた。 毎年11月から翌年3月末までの期間は,年間を通じて最も忙しい時期であるが,ことに,被災者が勤務をした平成8年は,11月の扶養親族等申告書関係の特別体制の実施,12月の基礎年金番号実施,12月から翌平成9年2月末までの所得税申告用の源泉徴収票の発送,確定申告用の証明書発行の依頼電話などの業務に関して問い合わせの電話が殺到し,基礎年金番号の実施については,被災者に質問,相談が集中するとともに,照会内容も難解なものが多かった。年金相談業務においては,直接担当をする係長が不在であり,管理係を担当するD係長が併任をしている状態で,事実上は,被災者が,電話相談係と他の部署との連絡調整など係長業務を行っていたことに加え,平成8年9月30日には,管理係の職員の退職に伴い,被災者の連 絡,調整や勤務命令簿,報告書等の作成,相談業務課全体の費用の徴収等などの業務につき,被災者へ業務が集中していた。さらに,被災者は,平成8年12月から英語の語学研修を義務づけられており,期末の3月まで,週2回受講していた。銀行の破綻のため,年金の振込業務一時停止などの緊急の連絡業務が増えたり,平成8年12月特別減税による所得税の還付の実施についての案内,これに関する照会の急増,平成9年4月より三共済の統合に関する法律が実施されることとなったため,その概要の資料の徹底を担当するなど,平成8年12月から平成9年3月までの被災者の業務は過重であった。 (イ) 電話相談係における職場環境による過重性 電話相談係の中心は,コンサルタントであったが,同人らは,60歳前後の元社会保険庁の女性職員で,年金相談業務の経験豊かなベテランであり,自尊心が高い者も多く,人間関係は複雑であった。昼食の弁当の手配,お茶当番,休憩時間などにおいても,コンサルタントらからの意見や苦情が出て,その調整に苦慮していたし,コンサルタントらをまとめる管理職もいなかったため,被災者が人間関係を円滑にするための気配りをしていた。 (ウ) 人事係における業務の過重性 被災者の業務は,人事異動通知書の作成,辞令の作成・整理,新規職員の配属関係作業,マスターファイルの更新,前前任者の昇給ミスの確認及び退職金計算ミスの修正などであったが,人事係の繁忙期は毎年4月であり,被災者の作成すべき書類の中には,4月6日,9日までに作成しなければならないものもあった上,被災者には前任者からの引継書も存在しなかったため,業務を行うのは困難を極めたほか,係長,同僚らも,新たに配属された者であったことから,被災者が頼ることはできなかった。 (エ) その他における業務の過重性 被災者は,このような過重な業務を負っていたが,平成8年12月に祖父が死亡した際に,休暇を取るのにも上司に嫌みを言われるなどし,入退院を繰り返していた他の職員の雑用的業務を押しつけられるなど,精神的に追いつめられ強いストレスを負っていた。 (2) 被告の主張 ア 業務時間について 被災者の所定労働時間及び超過勤務時間は下記のとおりであり,時間外労働は,被災直前6か月の平均で59時間,被災直前の1か月で約120時間,被災直前1週間で約50時間である。 所定労働時間 超過勤務時間 ①平成8年11月 160時間 28時間 ② 同年12月 124時間 55時間 ③平成9年 1月 143時間 71時間 ④ 同年 2月 144時間 58時間 ⑤ 同年 3月 152時間 94時間 ⑥ 同年3月29日から4月4日まで(死亡直前1週間) 40時間 48時間 なお,英語研修は任意受講であるから,勤務時間に算定すべきではないが,上記超過勤務時間には英語研修の時間が含まれている。 イ 業務内容 被災者の通常業務は,前任者と全く同一内容の業務であって,過重なものではなかった。 個々の業務をみても,回付票のチェック作業は,主として記載事項の漏れないし誤りの確認を内容とするものにすぎず,そもそも業務を過重にするような性質のものではないし,平成7年度から平成9年度までの累計件数に照らしても,被災者が担当していた時期は件数が少なく,また,1日300件を超えるということはない。弁当の注文などの雑用的業務は,心理的ストレスの多い仕事とはいえない。 管理係職員1名の退職後は,平成8年10月1日に採用された賃金職員が管理係に配置され,平成9年3月24日まで在籍して庶務的な事項を誠実にこなしたのであり,被災者の仕事量は十分軽減された。 休憩時間表は,コンサルタントの人間関係を一旦把握すれば,把握した人間関係を前提として日程調整することが容易であるから,当初多少の苦労はあっても,長期間継続するものではなく,資料等の配付作業は,被災者に複雑困難な判断や専門的判断を求めるようなものではなく,過重性ある業務とはいえない。 基礎年金番号導入による業務については,中央年金相談室の来訪窓口の増設や,仮設電話の設置を行うなど,特別の相談体制を組むことで対応していた。また,照会等については,電話相談係等に負担がかからないよう,通常の相談業務とは別に,専用の電話番号を高井戸庁舎及び三鷹庁舎に計130回線設置し,委託した電話オペレーター及び職員による特別体制で対応したので,特に被災者の業務が過重になったとはいえない。 2 被災者のうつ病の罹患及び自殺が業務によるものか否か。 (1) 原告らの主張 ア 被災者は,平成8年11月ころから平成9年1月ころには,度々仕事についての不満や悩みをこぼしており,同年3月25日に人事係に異動になった以降は,また過重な業務を担当する部署であることに精神的ショックを受けていた。このころには,同係の主任であったE主任や交際していたFに仕事についての不満をこぼしたり,被害妄想的な言動や逃げたいなどの発言をしたりするなど,情緒不安定になっており,特に同年4月4日や5日の言動は心配されていた。 これらの被災者の言動は,国際的な診断基準である「ICD-10」の大項目に照らしてみても,うつ病の各項目に該当し,遅くとも平成9年1月には,中等症以上の反応性うつ病に罹患していたものであり,抑うつ状態はさらに悪化し,自殺時は重症のうつ病であったものである(K医師の意見書同旨)。また,人事院判定書においても,被災者が,平成8年11月ころからうつ状態となり,翌年3月の異動内示後から4月4日にかけて症状が増悪し,反応性うつ病へと進展していったものと推認される旨の指摘がなされている。 イ 被災者のうつ病の罹患が業務によるものであること 被災者には,うつ病罹患の原因となる個人的な要因,業務以外の要因(家族関係,女性関係)は存在しない。被災者は,業務の量,質,職場環境における強度のストレスによって,反応性うつ病に罹患した。 (ア) 被災者が行っていた業務の負担量は相当に重く,そこから生じる疲労は,その持続期間を考慮すれば,人間の精神・身体両面の慢性的な過労状態を導き,うつ病を惹起するのに十分な程度であった。 また,平成8年9月末以降の管理係の業務の追加,同年11月から翌平成9年3月末までの扶養親族等申告書関係業務に加わった基礎年金番号制の実施に伴う業務の開始,同年1月から3月までの英語研修の実施は,一般的に考えて著しく過重であり,被災者の処理能力,許容範囲を著しく超えるものであったし,被災者の異変が家族によって報告された平成8年11月にも重なっている。被災者は,業務上の負担が数か月にわたって持続したことで,睡眠時間が絶対的に不足し,疲労が回復しないまま業務を続行するという悪循環となっていったのであり,業務の量とうつ病の罹患に因果関係があることは明らかである。 (イ) 被災者は,不在の係長に代わって係内のまとめや,D係長の指示により,他課や他係との連絡調整,雑用など,庶務的世話役的業務を担当させられていたが,これらの業務の遂行は,煩雑で,きめ細かい気遣い,配慮が求められたのであり,被災者に多大な心的負担を強いていた上,係員としての本来の責任を超えた業務もあった。被災者が,これらの仕事に対して持続的に感じていたであろう不合理さ,不満等は,心身の疲労とともに心理的ストレスとしてうつ病の原因になったと考えられる。 (ウ) 最年少であった被災者は,ベテランコンサルタントらからの雑務の依存,厳しい苦情を受けていたが,担当係長らは被災者に対応をまかせており,朝の新聞の切り抜き作業などもあって,いわば酷使されていたのである。被災者は,過酷なストレスに満ちた,孤立無援の職場環境で働いていたことも原因となってうつ病に罹患した。 ウ うつ病と自殺との因果関係 うつ病患者が希死念慮をもつことはもとより多く,その症状の増悪にもかかわらず,必要な治療も休養も得られないまま睡眠不足や身体的疲労を高じ,判断力や現実的検討能力が異常に低下した場合には,自殺行動への強い衝動を制御できなくなり,発作的,衝動的に自殺行為につながる。被災者については,K医師の意見書によれば,「自殺時,希死念慮を伴う重症のうつ病であった。そして,ただでさえ自殺率の高いうつ病において,特に自殺の危険が高まる要因がいくつも重なっていた。」とされ,症状として,絶望感,自責感,焦燥感の強いもの,不眠が持続するものなど,環境的に,精神的・社会的援助を家族,友人,近隣,コミュニティーから得にくい状況にあるもの,孤立した状況にあるもの,などが,被災者に認められる危険因子で あり,「自殺時,心身の疲労は相当極度のものであり,深夜の電話の件などは,ふだんの本人からは考えられない行動をとった背景には,自我の機能が低下し,自己の感情を制御し行動を選択決定する能力が著しく減弱した,病弱な精神状態を認めることができる。」,被災者は,「本人の主体的な意志によってではなく,業務に起因するうつ病の症状であるところの希死念慮と,同じく正常な判断力を失った異常な精神状態が原因で自殺に及んだことは間違いないものと推断できる。」のである。 よって,被災者の自殺は,業務の過重性を原因としてうつ病に罹患したことに基づく。 (2) 被告の主張 被災者の平成8年11月から平成9年1月ころの帰省先での言動やそれ以降の同僚らへの発言等,うつ病に罹患していたかどうかについては不知である。 被災者がうつ病に罹患した事実及び自殺との因果関係については,被災者の業務内容及び業務環境を過度に過重であると評価したことを前提とするものであり,誤りである。 原告らが被災者のうつ病罹患の根拠とするK医師の意見書及び人事院の判定書の記載内容は認めるが,それらの作成あるいは判定時点においては,被災者の勤務状況,日常生活について十分な事実が把握されていたとはいえず,誤った事実を前提に調査した結果に基づいて判断されたものであり,業務と被災者の死亡との因果関係を立証したものとはいえず,原告らの主張は理由がない。 3 被告の安全配慮義務違反の存否及び被災者の自殺との因果関係 (1) 原告らの主張 ア 被告は,その職員に対して安全配慮義務を負っているところ,本件では下記の注意義務を負っていたにもかかわらず,被災者に対する業務の従事のさせ方及び労務管理について安全配慮義務違反があった。 ① 被告には,職員に過度な業務を負わせることのないよう,適正な業務配分をし,その他労働条件について定める義務があったのに,被災者に加重な業務が集中することを知りながら,電話相談係,管理係になんら人員の補充・業務の適正な配分を行わず,適正な業務の配分がなされる措置を行わなかった。 ② 職員に心身の疾患が存在すれば,それに応じて疾患の治療ができ,疾患が進行しないよう労働環境を整える義務があったのに,被災者が健康状態を害していることを知りながら,これに応じた労働条件の整備を怠った。 ③ 職員が何らかの疾患に罹患している場合には,その疾患の治療・看護のために必要な措置を施す義務があったのに,被災者のうつ病に対して何らの措置も講じず,適切な治療・看護を施し,あるいは適切な治療・看護が受けることができるようにする義務に違反した。 イ 本件における上記の安全配慮義務違反を構成する事実は,具体的には,①被災者の労働時間を把握する資料を有しておらず,長時間労働自体を正確に把握していなかったこと,②長時間労働自体を軽減する措置を講じていないこと,③精神疾患に対応する体制になっていなかったこと,④人事異動について,異動直後に繁忙を極める人事係への異動を行うべきではなかったこと,⑤被災者に十分な休暇を取らせなかったこと,などである。 なお,②について,被告は,賃金職員の採用をしたと主張しているが,被災者の業務を軽減するには全く不十分であったし,被災者が行っていた新聞の切り抜きなど本来業務以外については,当該事務を命じた年金相談指導官に対し,止めさせるよう指示を出すべきであった。コンサルタントとの人間関係については,管理職たるD係長が調整に当たるべきであったのに,それを行っていない。語学研修についても,実施時期が遅れたことで,基礎年金番号制の実施時期で過重な負担がかかっていたのであるから,受講を控えるよう勧めるべきであったし,少なくとも受講するかどうかを確認すべきであった。軽減措置は,平成8年10月以降,平成9年3月31日までの間,いつでも行うべきことであったし,特に被災者が反応性うつ病に罹患した と考えられる平成9年1月以降にあっては,なおさらである。 ③についても,健康診断において,被災者の精神疾患に対応していない。 ④につき,被災者は,電話相談係で平成8年10月以降,繁忙を極めることが分かり切っていたのであるから,異動直後に繁忙を極める人事係への異動は行うべきでなかった。少なくとも,被災者がそのような激務に耐えられるかどうか,聴取するなどの調査を行うべきであった。 ⑤につき,平成9年4月4日,E主任が被災者の言動を聴いた時点では,少なくとも1日中休むことができるよう手配すべきであった。被災者の状態は明らかに正常でなかったのに,早急に人事係の同僚や上司に相談するなどの対応をしておらず,精神疾患に対する認識の甘さがあった。 ウ 被災者には,採用当時何らの健康上の問題は存在しなかったことはもちろん,親族にもうつ病に罹患した者はおらず,他にうつ病の原因となり得るような事情は存在しない。被災者は,過重な業務の結果,平成9年1月ころ,反応性うつ病に罹患して,その結果自殺するに至ったのであるから,被告の安全配慮義務違反と被災者の自殺との結果の間には,因果関係が存在する。 なお,被災者は,祖父母とは年始に会う程度であり,さして親しい間柄ではなかったのであるから,平成8年12月の祖父の死亡が被災者に精神的ショックを与えたとは言いがたいし,Fと交際を始める前の平成8年7月の別の女性との交際の終了についても被災者には特別に悩んでいる言動はなかった上,これらの出来事は,被災者のうつ病罹患時期及び自殺時期と相当なずれがあるから,被災者の発作的,衝動的な自殺と上記のような個人的事情との因果関係は到底認められない。 エ また,予見の対象は被災者の心身の健康悪化を生む原因となる危険な状態であり,本件でいうならば長時間過重労働そのものである。被告は当該事実を認識していたのであるから,予見可能性は存在した。被告は,被災者の不自然な言動や体重の減少などから,被災者が明らかに反応性うつ病に罹患していることを十分認識していたのであり,健康診断で判明しなかったことをもって,予見可能性がないとはいえない。 (2) 被告の主張 ア 国が負っている安全配慮義務は,信義則上負担するものであるから,その具体的内容は,公務員の職種,地位,現に遂行する具体的な公務の内容,その具体的な状況等によって定まり,それぞれ異なるべきものである。 本件において,国家公務員災害補償法上の公務起因性が認められているとしても,必ずしも,安全配慮義務違反が存するとはいえない。すなわち,災害補償では,補償の対象となる災害が公務上の災害であること(公務遂行性と公務起因性)が必要であり,使用者の故意,過失は要件となっていないため,故意,過失を要件とする損害賠償とは相違があり,災害補償が認められる場合であっても,安全配慮義務違反による損害賠償請求が認められるためには,過失として,具体的に発生した結果との関係から,義務者である国が,そのような結果が予見できたこと(予見可能性),ある措置を講じていれば結果の発生を回避できたこと(結果回避可能性)が必要である。 ここにいう予見可能性とは,最高裁判所昭和61年12月19日第三小法廷判決集民149号359頁が,「生命,身体に危害を及ぼす可能性を客観的に予測しうる」ときは,「かかる危険が及ぶことのないよう配慮すべき義務を負う」と判示しているとおり,抽象的な予見可能性ではなく,具体的な予見可能性が必要と考えているものと解されるのであり,責任主義の見地からは,予見可能性と共に結果回避可能性まで必要と解すべきである。予見可能性の対象は,過重な長時間労働ではなく,業務の遂行により「疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうこと」であり,原告らの主張は失当である。 イ 社会保険庁における健康管理及び被災者の健康管理について落ち度がないこと 社会保険庁の職員の健康管理については,人事院規則等に基づく各種の健康診断が実施されており,被災者も,平成8年度において,一般定期健康診断を受診していた。その結果,平成8年6月25日の検診において,低色素性貧血及び肥満度マイナス25パーセントを理由に,要精密検査となり,同年10月4日における健診では貧血につき経過観察となっていたが,全体として格別健康状態に異常はみられなかった。 また,被災者の勤務していた高井戸庁舎には医務室が設置されて,日常的に職員の健康管理を行っており,被災者自身も数度にわたって受診をしていた。業務センター診療室においては,肉体的な健康のみならず,精神面にも配慮し,平成2年ころから,メンタルも含めた健康相談の実施を月1回行っていたが,被災者が健康相談を受けた記録はない。 ウ 被災者の業務は,時間的にも内容的にも被災者のうつ病の罹患を予期しなければならないほど過重なものということはできない。 エ 被災者の勤務態度は非常にまじめで,不平不満を言わず与えられた仕事をこなしていたため,被災者を優秀な人材として認識していたものの,電話相談係当時,健康面について異常があるとの認識はなかった。被災者のメンタル面での健康相談を受けた記録もなく,不安よりはむしろ積極的,意欲的な姿勢を見せている。 被災者の異常を認識ないし認識し得たのは,平成9年4月4日のE主任あての電話の時点が始めてであった。同年3月末当時における人事係への異動時においては,転勤に伴う通常の不安等の発言は確認できたものの,それ以上の異常は全く確認できていないし,4月4日の被災者の勤務状況や行動から,被災者の異常を知ることはできなかった。結局,被災者の超過勤務状況,健康状態等について,当局は人事係への異動後,自殺前日の平成9年4月4日になるまで認識することはできなかったのであるから,それについての対応を取る暇もなかった。 オ 人事院の判定時においては,被災者の生い立ちや両親との関係,良好な関係にあった祖父が平成8年12月に死亡していること,被災者がFとの交際を始める2,3か月前に交際していた女性との交際の終了で悩んでいたらしいとの事実については,十分検討されたとはいえない事情がある。 カ 労災認定における考慮項目に照らすと,被災者においては,「職場における心理的負荷」の判断項目は,電話相談係当時においてある程度長時間労働が常態化していたこともあって,該当事項はない。人事係への異動は,仕事内容,仕事量の変化があり,負荷は認められるが,被災者の能力,業務困難性からして,業務が特に過大になったとは認められない。一方で,「職場以外の心理的負荷」の判断項目において,親しい存在であった被災者の祖父の死亡は,配偶者や親の死亡と同様の心理的負荷があったと考えられるし,結婚を考えていた女性との交際の破綻も中程度以上の評価が可能である。 したがって,業務と被災者の死亡との間には因果関係は必ずしも認められない。 4 消滅時効(国家賠償請求部分について) (1) 被告の主張 原告らが,国家賠償請求権の主張をしたのは,平成15年7月31日付け訴状によってであって,被災者が死亡した平成9年4月5日から3年以上が経過した時点である。国家賠償請求権には,「被害者又は其法定代理人ガ損害及ヒ加害者ヲ知リタル時ヨリ三年間之ヲ行ハサル時ハ時効ニヨリテ消滅ス」との不法行為の規定(民法724条)が適用されるから,既に時効によって消滅している。被告は,平成16年9月2日の弁論準備手続期日において,時効援用の意思表示をした。 ア 起算点の主張について 人事院による公務災害の判定は,公務により生じた災害であるか等について判断するものであり,国のした行為が違法であるかについて判断をするものでないことは明らかであるから,人事院の判定があるまで違法であるかどうか判然としないため訴えを提起することが困難であったとする原告らの主張は理由がない。 イ 時効の中断の主張について 平成16年3月17日に遺族補償一時金が支払われているが,これは公務災害の補償として支払われたものであり,原告らが本件訴訟で請求する債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償請求権の存在を認めて支払ったものとはいえず,承認には当たらない。 ウ 権利濫用との主張について 災害補償制度と損害賠償制度は,目的,要件,効果等を異にする別個の制度であるから,社会保険庁が公務災害であることを認めなかったからといって,不法行為に基づく損害賠償請求について適時における権利の行使又は時効中断措置を講ずることを不可能もしくは著しく困難にさせ,または,これらを不必要と信じさせるような事情があったということはできず,被告による消滅時効の援用が権利濫用に当たるとはいえない。 (2) 原告らの主張 ア 起算点 不法行為一般の消滅時効の起算点は「加害者及ビ損害ヲ知リタル時」であるが,本件については人事院による公務災害の判定がなされるまで加害者の行為が違法であることは判然としなかったのであるから,時効の起算点は平成14年12月25日となり,消滅時効は成立しない。 イ 時効の中断 平成14年12月25日,人事院による公務災害の判定がなされた後,被告は,原告らに対して遺族補償一時金として平成16年3月17日,合計金1009万3000円を支払っている。これは,公務災害に基づくものであるが,損害の填補として支給されるものであるから債務の弁済があったとみることができる。 ウ 権利濫用 本件については,事案の性質上原告側で完全に資料の収集を行うことができず,自ずと公務災害の申請を先に行うこととなった。さらに,社会保険庁における公務災害の申請が認められず,人事院に対して再審査請求を行った経緯があり,被告側の事情で公務災害の認定が延びたという事情がある。公務災害の申請を先行させていた上,その認定に時間がかかった本件においては,消滅時効制度の趣旨は妥当せず,被告側で消滅時効を主張するのは権利濫用である。 5 損害 (1) 原告らの主張 ア 逸失利益 7252万4519円 被災者の逸失利益としては,下記①ないし④の合計金額が相当である。 ① 60歳までの逸失利益 被災者の死亡時の年収は399万203円であり,60歳の定年までのライプニッツ係数が16.711287,被災者が独身の男性であったことから生活費控除割合を50パーセントとして計算した3334万0713円(=399万203円×0.5×16.711287)。 ② 定額昇給 被災者が死亡時から定年時まで毎年37年間の1年当たり14万377円の定額昇給の合計額にライプニッツ係数で中間利息を控除した3218万2081円(=14万377円×229.254662)。 ③ 退職金 被災者において,退職時に支給を受けることができた,退職時の本棒62.7か月分の退職金にライプニッツ係数で中間利息を控除した477万9768円(=46万3600円×62.7×0.16443563)。 ④ 60歳以降の逸失利益 被災者が,67歳まで働いて得られたはずの収入は,60歳から64歳までの男子労働者の学歴計年収に基づいて,60歳から67歳までのライプニッツ係数に基づいて中間利息を控除して計算した222万1957円(=467万500円×0.5×0.951486)。 イ 慰謝料 5000万円 被災者の死亡による精神的苦痛は,5000万円を下らない。 ウ 原告らは,被災者の親であり,上記アイの合計金額の2分の1をそれぞれ相続した。 エ 既払い額の控除 被告は,原告らに対して,遺族補償一時金1009万3000円及び既払い分退職金98万2800円を支払っている。 したがって,原告らは,アないしウの金額より,上記金額を控除した1億1144万8719円を2で除した額(5572万4359円)を,それぞれ債務不履行ないし不法行為に基づく損害賠償請求権として請求する。 オ 弁護士費用 各557万2435円 原告らそれぞれにつき,上記損害額の1割が相当である。 カ 被告の過失相殺の主張は,被災者が自ら症状を悪化させたわけでないことからしておよそ過失相殺の事由たり得ない。 また,当該主張は,口頭弁論終結間際になされたものであり,原告らの反論の機会を奪うような段階でこのような主張を行うことは時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。 (2) 被告の主張 ア 原告ら主張の損害は争う。 現在の公務員の給料や退職金等の減額傾向にみれば,退職時において退職金が確実に得られる蓋然性があったとはいえないし,60歳以降において確実に就労可能で逸失利益が発生する蓋然性があったとはいえない。 また,被告は,国家公務員退職手当法に基づき,98万2800円を原告らに支給しているから,その限度において損害はない。 慰謝料についても,被災者固有の個別的要因に起因する側面は否定できないのであるから,交通事故と差異はないし,むしろ,被災者の故意行為が関与する側面からみれば,本人に生じる精神的苦痛が他の場合に比して特に強いという要素はない。 イ 過失相殺 仮に,被告に責任が認められたとしても,被災者の業務は過重といえるものではなかったし,被告は被災者が労務に関して心理的精神的に異常を来していることを知ることはできなかった。また,個人の健康管理は第1次的にはその個人に委ねられているところ,被災者に自覚症状があったのであれば,医療機関等を受診するべきであったし,そのような措置を執ることが困難という事情は見当たらず,まして,業務が過重との認識を有していたのであれば,その削減を求めることができた。 被災者の自殺については,被災者において,うつ病の罹患あるいはその悪化を防止するための措置を講ずべきことを怠った落ち度があるといわざるを得ず,自殺の動機には業務以外の要因もあることから,公平の見地から,民法418条,722条を適用あるいは類推適用して,大幅な過失相殺がされるべきである。 第4 当裁判所の判断 1 当裁判所としては,まず安全配慮義務違反による債務不履行に基づく損害賠償請求について判断する。 上記争いのない事実に証拠(甲1ないし71,乙1ないし25〔書証は全て枝番を含む〕,証人D,同F,原告B本人)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1) 被災者の経歴等 被災者は,原告B,原告Cの二男として出生したが,原告らが離婚し,原告Bが刑事事件で服役するなどしたことから,一時期父方祖父母の下で育てられた後,2歳半ころ養子に出された。原告らはその後復縁し,被災者が中学を卒業するころ,被災者を引き取って一緒に生活するようになり,高校を卒業する年までの約4年間共に生活をし,そのころ,被災者と養親との養子縁組も解消した。 被災者は,高校卒業後の平成5年4月1日,社会保険庁に採用され,同日総務部総務課に配属された。同月13日,社会保険業務センターに併任発令され,同年7月には同業務センターに転任となり,業務部業務第1課支払第6係において勤務した後,平成8年4月1日,中央年金相談室相談業務課電話相談係に配属され,平成9年4月1日,総務部庶務課人事係に配置換えとなった。 被災者は,社会保険庁入庁後,寮などで一人暮らしをはじめ,平成8年当時は東京都杉並区内のアパートで一人暮らしをしていた。 (2) 社会保険庁における勤務体制,健康管理等 ア 所定労働時間について 一般職の職員の勤務時間,休暇等に関する法律(平成6年法律第33号)によれば,職員の勤務時間は,休憩時間を除き,1週間当たり40時間とされており,社会保険庁においては,社会保険庁に勤務する職員の勤務時間に関する訓令(社会保険庁訓第3号)に基づき,勤務時間が定められている。通常,職員の勤務時間は月曜日から金曜日までの午前8時30分から午後5時までであり,午後零時15分から午後零時45分までを休憩時間,午後零時から午後零時15分までの間と午後零時45分から午後1時までの間を休息時間としており,日曜日及び土曜日は週休日である。そして,通常の勤務体制とは別に,時差通勤職員として,第1種職員から第4種職員までが定められており,勤務や休憩休息における開始時間,終了時間に差異がもうけ られていた(乙24)。被災者の勤務形態は,月曜日から金曜日までの午前9時から午後5時15分であり,休憩時間は午後零時30分から午後零時45分,これとは別に合計30分の休息時間が定められていた。 社会保険庁における出勤の管理は,各職員毎に作成した出勤簿を勤務時間管理員が管理するものとされており,定時までに出勤したことを証するための押印等を行い,休暇の取得日数及び時間等の必要事項をその都度記入することとされていた(乙23)。 実際には,職員が出勤簿を作成するほか,超過勤務について,超過勤務命令簿を作成し,主務係長や課長が押印をしていたが,事務室の開錠,施錠簿を合わせみると,これに反映されていない超過勤務時間も相当にあったことが認められる。 イ 健康管理について 社会保険庁における健康管理は,人事院規則10-4(職員の保健及び安全保持),社会保険庁健康安全管理規程(社会保険庁訓第2号)に基づいて行われており,健康診断は人事院規則10-4の20条,21条に基づき,胸部X線,血圧,検尿,身体計測,問診を実施項目とする一般定期健康診断を全職員に対し年1回,事務処理機器操作職員全員に血圧,視力,聴力,筋機能及び問診を実施項目とする特別定期健康診断を年2回実施していた。 また,高井戸庁舎においては,日常的な職員の健康管理のために,医務室が設置されており,業務センター診療室は,肉体的な健康のみならず,精神面にも配慮し,平成2年ころからメンタルを含めた健康相談を月に1回実施していた。 なお,人事院規則10-4の5条は,組織区分毎に,職員の健康管理に関する事務の主任者として健康管理者を指名するものとしており,社会保険業務センターにおいては総務部庶務課長がこれに該当し,平成8年から平成9年にかけてはG課長がこの任に当たっていた。 (3) 被災者の担当業務及び勤務状況 ア 電話相談係における業務 被災者が平成8年4月1日から配属されていた電話相談係は,相談業務課の課長,上席相談官のほかに,独任官である年金相談指導官,主任相談指導官等を含む職員13人,コンサルタント11人で構成されており,被災者は,同係における唯一の役席のない係員であった。被災者は,同係の最年少の職員でもあったところ,コンサルタントの中には社会保険庁の職員を定年まで務めたベテランもおり,全員が被災者からみて目上の者であった。同係には専任の係長は不在で,管理係の係長であったD係長が兼任をしていた。したがって,被災者の直属の上司はD係長であり,その上にH課長補佐(平成8年11月以降はI課長補佐)がいて,さらにその上にJ課長がいた。 管理係は,電話相談係,来訪相談係及び文書相談係の連絡調整や,法律改正に伴う業務の取扱いの変更の連絡,その他の庶務的業務を担当する係であったが,電話相談係とはついたてを隔てた同じフロアにあり,平成8年9月に職員1名が退職した後は,H課長補佐(同年11月以降はI課長補佐)とD係長の職員2人,賃金職員2人という構成であった。 電話相談係では,年金加入者等からの問い合わせに対し,20数回線の電話回線で対応し,相談を受け回答するといった業務を行っていたところ,被災者は,毎朝行う磁気カードの配布等職場環境の整備,午前,午後の電話の切り替え,回付票等の確認作業など計18項目の事務のほか,定期的に行う留守番電話の変更・更新,用紙等の補給や文書の保管などの業務,その他コンサルタントらの休憩時間表の作成,弁当表の配布,消耗品の管理,経費の管理,資料の送付・業務連絡の徹底及び新聞・広告の配布などの雑用的業務を担当し,手が空いた時には受給者等からの電話相談の応対にも当たっていた。コンサルタントらが電話相談を受ける中で生じた年金等の支払いに関する疑問は,業務課支払係に配属された経歴をもつ被災者に寄せられるこ とも多かった。 また,被災者は,D係長の指示を受け,管理係における文書のコピー・回覧の配布,管理係の発行する諸通知,連絡事項等の事務の一部及び第1種指定職員の指定簿の作成作業等の一部を担当していた(甲5,6,13)。 さらに,被災者は,電話相談係のK年金相談指導官(以下「K指導官」という。)から,毎朝新聞5紙を閲覧し,年金関係,健康保険関係等業務上必要と思われる新聞記事の切り抜きをし,午前の電話相談業務の開始前に職員らに配布するよう指示されていたことから,午前7時ころに登庁し,それらの作業を行っていた(甲8ないし甲27,甲33)。K指導官は,アルコールが原因で入退院を繰り返すような人物であり,酒に酔った状態で出勤をするなど勤務中に問題を起こすこともあった者であるが,上記新聞の切り抜き以外にも,被災者に対し,種々の雑務を指示することがあった。被災者が早朝から新聞記事の切り抜きを行っていたことについて,当初,D係長は認識していなかったところ,同じフロアの文書相談係の係長から指摘を受け たため,被災者に朝早く来ることはない旨伝えたことがあるが,その際,新聞の切り抜き作業が不要であるとか,他の方法で行うよう具体的な指示を出すことはなく,新聞の切り抜きと配布作業はその後も被災者が行っていた。 D係長は管理係長の席で仕事をしていて,電話相談係で仕事をすることはほとんどなく,被災者との個人的な関係もあまりうまくいっていなかった。そのため,被災者は,アルコール問題のあったK指導官への対応ばかりでなく,多数の口うるさいコンサルタントへの対応も全て自分で行わなければならず,はたから見ていて,係の20数名の面倒を一人でみているような状態であった。 平成8年度には,平成八年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律(平成8年法律第29号)により年金の自動物価スライドが凍結されたことに伴い,年金等の照会や扶養親族等申告書関係の特別体制が組まれたこと,同年12月には,平成8年分所得税の特別減税のための臨時措置法(平成8年法律第18号)に基づく厚生年金保険,船員保険及び国民年金の年金受給者に対する特別減税に関する還付事務を要したこと,さらに同月,翌平成9年1月実施の基礎年金番号制に関して1億人に上る被保険者や年金受給者に対する基礎年金番号の通知が実施されたことなど,種々の政策に関連し,電話相談係においても,通常時期,通常年度に比べて対応を要する事務が増加していた。この点,被災者の業務であった回付票の点 検に関してみれば,その作成件数は,平成8年3月が1121件であったのに対し,平成9年1月は654件,同年2月は1394件,同年3月は774件であり(乙17),処理数が急増したとは認められないものの,一般的な電話相談処理状況についてみれば,平成7年度は前年比1.02倍の33万3517件であるのに比して,平成8年度は34万4789件,平成9年度は36万8044件とやや増加傾向にあった(乙5)。そして,上記法改正や新制度の導入に関連して必要とされる職員間の連絡事務の徹底や,資料の整理,配布などといった庶務的な事務については,被災者が担当していたため,結果的には被災者の業務が量的に増加していた。さらに,平成8年12月から翌平成9年2月末までの所得税申告用の源泉徴収票の発送,確定申告用 の証明書発行の依頼電話なども合わさって,そのころは,通常時期と比較して,問い合わせの電話が増加していた上,上記のような新制度の発足等に関し,照会を要したり,即答が難しいような問い合わせがあるなどしたため,被災者においては,コンサルタントからの質問に応じたり,直接に電話に応対するなどの業務も増加していた(甲26の2,甲36,甲37の10,同15ないし25,同27ないし30)。 なお,基礎年金番号制の実施に際しては,通常の相談業務とは別に,専用の電話番号を高井戸庁舎及び三鷹庁舎に計130回線設置し,委託した電話オペレーター及び職員による特別体制を組むなどの対応が採られていた(甲37の9・23,乙20)ものの,電話相談係自体には電話回線の増設はなされず,増員もなされなかった。 イ 人事係における業務 被災者は,平成9年3月25日に総務部庶務課人事係への異動の内示を受け,4月1日付けで,人事係に配属された。人事係は,専任の係長がおらず,N人事業務調整官が庶務係長とともに人事係長を併任していた(同人を,以下「N係長」という。)。そのほか,E,L主任の主任2人,被災者を含む係員2人がいて,計5名で構成されていた。したがって,N係長が被災者の直属の上司であり,その上にM課長補佐,さらにその上にG課長がいた。G課長は,前述のとおり,社会保険業務センターにおける健康管理者でもあった。 人事係は,係長を含む2人が転入者であったほか,同係において,4月は人事異動,昇給昇格に伴う事務の多い繁忙期であった。同係での被災者の業務は,昇給・昇格関係資料の作成であるが,被災者は,昇給対象者であった職員300人のうち,106人分の資料作成を担当しており,主に,職員座席表の作成,級号俸別昇給月別氏名一覧の作成,4月昇給昇格対象者一覧の作成,昇給対象者の昇給昇格調書の作成などを行った。昇給昇格調書の作成は4月9日を締切りとするものであったが,被災者の前任者の異動に際して引継書などは存在しなかった(争いがない。)。 被災者は,人事業務は初めてであり,前任者が地方へ転出したため3月25日からの限られた時間で引継ぎをしなければならなかったこと,引継書がなかったこと,係のほかの職員も急を要する作業があるために十分相談ができるような状態でなかったこと,4月9日を締切りとする仕事があったことなどから,仕事に対する大きな不安を抱え,イライラや寝不足に悩まされながら仕事をしていた。 ウ 被災者の業務時間について 被災者の所定勤務時間は,月曜日から金曜日までの毎日,午前9時から午後5時15分の8時間15分であり,そのうち休憩時間が15分,休息時間が30分となっていた(甲52,乙24)ため,休憩時間を除き,1日8時間が所定労働時間と解される。そして,被災者の被災前6か月間における所定労働時間は,被災者が取得した年次休暇(年次休暇3日,半日休暇2日,忌引き2日),特別休暇等を考慮し,下記のとおりと認められる(乙7の1)。 また,超過勤務時間は,超過勤務命令簿,開錠簿,施錠簿を基本として作成された書面,鍵受払及び登庁者退庁者管理簿等(甲30,31,41,71,乙7の2)を総合すると,少なくとも,下記のとおりと認められる。 被災者の被災前6か月における土曜日や日曜日,祝日の出勤については,平成9年3月29日が確認されているのみである。 なお,被災者が平成8年12月19日から平成9年3月27日までの週2回,午後5時30分から午後7時までに任意受講していた英会話研修は,受講は職員個々の希望によるものとはいえ,研修受講命令書に基づいて受講していたものであり,勤務時間として含めるのが相当である(乙7の3,乙22)。 所定労働時間 超過勤務時間 ①平成8年11月 160時間 約28時間 ② 同年12月 124時間 約55時間 ③平成9年 1月 143時間 約71時間 ④ 同年 2月 144時間 約58時間 ⑤ 同年 3月 152時間 約94時間 ⑥ 同年3月29日から4月4日まで(死亡直前1週間) 40時間 約48時間 以上から,被災者の時間外労働は,少なくとも被災直前の1か月で120時間を超え,被災直前6か月の平均でも1か月60時間を超えていた。 (4) 被災者の健康状況,性格等 被災者は,入庁時の健康診断で健康上の問題が指摘されたことはなく,高井戸庁舎医務室においては,平成7年6月19日に自然気胸が発見されたほか,同年10月26日から平成9年1月13日までの間に,胃腸炎,鉄欠乏性貧血,上気道炎,咽頭炎等での受診歴があった。また,平成8年6月25日に実施された一般健康診断において,身長174.2センチメートル,体重50.0キログラムで,低色素性貧血,肥満度が-25パーセントであることで精密検査を受けるようアドバイスを受けていた。 しかし,上記自然気胸は,社会保険中央総合病院において左胸腔ドレーン挿入により軽快した後,一旦は再発したが,胸腔鏡下手術が施行された結果,平成7年7月30日には軽快して退院となっており,その他の傷病
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「越境通勤市議」問題:名誉毀損裁判訴状 訴状 平成20年6月4日 東京地方裁判所八王子支部民事部 御中 原 告 佐 藤 真 和 被 告 矢 野 穂 積 被 告 朝 木 直 子 被 告 特定非営利活動法人多摩レイクサイドFM 代表者 理事長 損害賠償等請求事件 訴訟物の価額 1020万円 貼用印紙額 5万3000円 請 求 の 趣 旨 1 被告矢野穂積及び被告朝木直子は原告に対し、連帯して金800万円及び平成18年9月26日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告特定非営利活動法人多摩レイクサイドFM及び被告矢野穂積は原告に対し、連帯して金200万円及び平成18年12月6日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告矢野穂積及び被告朝木直子は原告に対し、インターネットホームページ「東村山市民新聞」トップページにおいて、別紙1記載の謝罪広告を別紙2記載の条件にて1週間掲示せよ。 4 被告特定非営利活動法人多摩レイクサイドFM及び被告矢野穂積は、原告に対し、別紙3記載の謝罪広告を別紙4記載の条件にて3日間放送せよ。 5 訴訟費用は被告らの負担とする。 との判決及び上記第1項ないし第2項について仮執行宣言を求める。 請 求 の 原 因 第1 当事者 1 原告 原告は平成15年1月17日、自らの家庭の事情と職務上の必要性から、東村山市内に単身転居した。その後、保育所関係者などの市民から推挙され、同年4月27日に執行された東村山市議会議員選挙に立候補し当選、平成19年4月22日に執行された東村山市議会議員選挙に再び立候補し2回目の当選をし、現在、東村山市議会において一人会派「希望の空」の市議会議員として活動している者である。 2 被告矢野穂積 被告矢野穂積(以下、「被告矢野」という)は、議会内会派「草の根市民クラブ」(被告矢野及び被告朝木直子の2名で構成。以下、両名を「両被告」といい、被告朝木直子を「被告朝木」という)に所属する現職の東村山市議会議員であり、両被告の政治宣伝紙「東村山市民新聞」及びインターネット版「東村山市民新聞」の発行人である。 なお、上記「東村山市民新聞」は東村山市内や東村山市役所内で配布されるなど不特定多数に配布されており、インターネット版「東村山市民新聞」には不特定多数がアクセスできる。 3 被告朝木直子 被告朝木は議会内会派「草の根市民クラブ」に所属する現職の東村山市議会議員であり、上記紙版「東村山市民新聞」及びインターネット版「東村山市民新聞」の編集人である。 4 被告特定非営利活動法人多摩レイクサイドFM 被告特定非営利活動法人多摩レイクサイドFM(旧称「特定非営利活動法人ひがしむらやまFM」・理事長岡部透=以下、「被告FM」という)は、平成16年6月に総務大臣から無線局免許を付与された不特定多数が聴取できるコミュニティFM放送局であり、東村山市を中心に周辺8市を放送エリアとしている。 なお、被告矢野は被告FMの監事であるとともに番組「ニュースワイド多摩」のパーソナリティを務めており、被告朝木は被告FMの事務局長兼番組制作部長である。 第2 本件提訴に至る事情 1 被告らは平成19年4月22日に執行された市議会議員選挙の約半年前である平成18年9月以降、ビラや放送によって原告について突然、〈公選法違反〉〈詐欺登録罪の疑惑〉などのネガティブキャンペーンを開始した。そして矢野、朝木両被告は選挙執行直後、東村山市選挙管理委員会(以下、「市選管」という)に対して「原告は東村山市内に生活実態がなく原告の当選は無効である」との異議を申し立てた。同年7月に市選管がこれを棄却したところ、両被告は東京都選挙管理委員会(以下、「都選管」という)に同様の異議を申し立てたが、都選管も同年10月にこれを棄却。両被告はこの裁決を不服として同年11月、都選管を相手取り裁決取消を求めて東京高等裁判所に提訴した。しかし平成20年4月30日、東京高裁は都選管の主張を容れ、「原告の生活の本拠は一貫して東村山市内にある」と判断し、両被告の異議申立を棄却した都選管の裁決は正当であると認定する判決を言い渡した。 2 原告の妻と2人の娘は日野市内で生活し、原告とは所謂別居という形態にあるが、原告は現在でも必要に応じ不定期(週に2日程度)に妻子のもとへ出向くことがある。この事実については、平成15年4月の初当選以来、原告の周辺のみならず多くの同僚議員や議会事務局職員も承知していたものであるし、議会においても何ら問題とされたことはない。 3 被告朝木及び訴外石田敏雄が原告の妻子が住む日野市内のマンションと原告が住む東村山市内の自宅の2箇所に対し深夜・早朝に及ぶ張り込みを行なっていることに原告が気づいたのは、平成18年9月25日午後9時頃、妻が骨折したために食事の支度に日野へ戻った原告の前に、訴外石田が突然現れたことによる。この直後から、被告らは〈前代未聞の「越境市議」!! 佐藤市議、日野市内で生活〉〈公選法違反・詐欺登録罪の疑惑〉と記載したビラを多数、東村山市内のみならず原告の妻子が住む日野市内のマンション周辺にも数回配布した。この結果、原告の妻子は被告朝木らのストーカーまがいの行動に怯え、また原告は「犯罪者の市議」のレッテルを貼られたあげく、選挙管理委員会から事情聴取を受けるなど、本来なら全く必要のないエネルギーと時間を浪費させられるなど不本意な議員活動を送ることを余儀なくされた。 4 さらに両被告は、異議申立に対する審議や裁判の途中においても、ビラ(東村山市民新聞)、インターネットホームページ、FMラジオを使い「原告が公選法の詐欺登録罪・詐欺投票罪を犯した」との虚偽事実の宣伝を執拗に続けたのみならず、平成20年4月30日の高裁判決後も、判決を無視し、両被告が運営するインターネット上のホームページ「東村山市民新聞」で「原告が公選法の詐欺登録罪・詐欺投票罪を犯した」との記事を掲載し続けている。 第3 不法行為 1 紙版「東村山市民新聞」による名誉毀損 (1)両被告は両被告の政治宣伝ビラ「東村山市民新聞」第147号(平成18年9月26日付)~同第160号(平成20年4月15日付)(第151号を除く=別表1~13=甲1~甲13)において、原告について、 〈前代未聞の「越境市議」!! 佐藤市議、日野市内で生活〉 〈公選法違反・詐欺登録罪の疑惑〉 などとの見出しのもと(第154号は本文のみ)、 〈長期間、調査を続けていた、清瀬市民オンブズマンと東村山市民オンブズマンは、佐藤まさたか「市議」に、公選法違反・詐欺登録罪(236条)の疑いが強いとして事実の公表に踏み切った。〉(第147号=別表1=甲1) 〈市議会議員は、その市に生活していないと立候補することができない。この公選法の規定は誰でも知っている常識だが、佐藤真和・東村山市議に公選法違反の疑惑が発覚した。〉(第148号=別表2=甲2) 〈野口町の保育所「空飛ぶ三輪車」の職員で日野市から通勤している佐藤真和「市議」は、……03年4月の市議選公示ぴったり3ヶ月前の1月、日野市から保育所隣のワンルームに住民登録だけは移した。〉(第149号=別表3=甲3) 〈日野の3LDKで平然と家族4人で暮らしていましたが、ばれた後は、野口町のワンルームで暮らしているかのような偽装までして、逃げ隠れの生活です。〉(第152号=甲5) などとする記事を掲載した(別表1~13には、表現は異なるが同趣旨の文言が並んでいる=以下、紙版「東村山市民新聞」の記載を「本件各記事」という) (2)公職選挙法9条2項、10条1項5号、2項によれば、市町村議会の議員の選挙権及び被選挙権は、選挙の期日を基準として、引き続き3ヶ月以上その市町村の区域内に住所を有するもので一定の年齢以上の者がこれを取得すると規定しており、同法99条は「当選人は、その選挙の期日後において被選挙権を有しなくなったときは、当選を失う。」と定めている。したがって、本件各記事にある〈前代未聞の「越境市議」!! 佐藤市議、日野市内で生活〉〈公選法違反・詐欺登録罪の疑惑〉の見出しは、原告が〈日野市内で生活〉と断定することによって「原告は東村山市内に住んでいない=住所を有しない」(「越境市議」も同趣旨)から公選法9条が規定する地方議会議員の要件を欠く存在であると断定するものであるのみならず、〈詐欺登録罪〉の見出しと合わせ読めば、一般読者が上記見出しから「原告が東村山市に居住実体がないことを自覚していながらその事実を隠してあたかも東村山市に居住実体があるかのように偽装し、違法に東村山市議の地位を得た」との意味に理解することは明らかである。 (3)さらに、 〈長期間、調査を続けていた、清瀬市民オンブズマンと東村山市民オンブズマンは、佐藤まさたか「市議」に、公選法違反・詐欺登録罪(236条)の疑いが強いとして事実の公表に踏み切った。〉(147号=別表1) とする記載は原告に〈公選法違反・詐欺登録罪の疑惑〉があるかのように強調するものであり、また、 〈市議会議員は、その市に生活していないと立候補することができない。この公選法の規定は誰でも知っている常識だが、佐藤真和・東村山市議に公選法違反の疑惑が発覚した。〉(第148号=別表2) 〈野口町の保育所「空飛ぶ三輪車」の職員で日野市から通勤している佐藤真和「市議」は、……03年4月の市議選公示ぴったり3ヶ月前の1月、日野市から保育所隣のワンルームに住民登録だけは移した。〉(第149号=別表3) 〈日野の3LDKで平然と家族4人で暮らしていましたが、ばれた後は、野口町のワンルームで暮らしているかのような偽装までして、逃げ隠れの生活です。〉(第152号 =別表5) など別表1~13の本件各記事は、上記(1)の〈前代未聞の「越境市議」!! 佐藤市議、日野市内で生活〉〈公選法違反・詐欺登録罪の疑惑〉との見出しの趣旨を読者に対して具体的に提示するものである。 (4)よって本件各記事はいずれもそれぞれ、原告が公選法9条が規定する地方議会議員の要件を欠く存在であるのみならず、原告が東村山市に居住実体がないことを自覚していながらその事実を隠してあたかも東村山市に居住実体があるかのように偽装しているとの虚偽の事実を摘示し、一般読者に対して原告が違法に東村山市議の地位を得ているかのような印象を与えるものであり、原告の東村山市議としての社会的評価及び信用を著しく低下させたものである。 2 インターネット「東村山市民新聞」による名誉毀損 (1)両被告は平成19年2月22日、23日の両日、インターネット版「東村山市民新聞」トップページに、 〈佐藤まさたか「越境通勤市議!!」〉 と掲示した上、 〈地方自治など知るもんか! 前代未聞の「越境通勤市議」〉 〈ついに発覚した公選法違反詐欺登録・詐欺投票疑惑!〉 との見出しのもと、 〈佐藤「市議」が、公選法236条(詐欺登録罪)に違反している問題でその後、新展開があった。〉 と前置きし、 〈この事件を長期に渡って追及している清瀬と東村山の市民オンブズマンが10月27日午前8時40分ころ、日野市多摩平の佐藤「市議」が家族4人で暮らすファミリーマンション付近で調査していたところ、佐藤「市議」は、自宅ドアを開けるや、駐車場まで、足をもつれさせながら全力疾走し、自分の車に駆け込んで、あっという間に姿を消した。 つまり、自分がこの3LDKのマンションに家族と生活し、朝「出勤」する姿は、見られたくない、という公選法違反を自覚した行動だからだ。〉 〈形だけ住民票を移して3ヶ月たったから、選挙権・被選挙権が行使できるわけではない。移した先で生活していなければダメなのだ。〉 などと記載し、さらに〈青森でも実例があるが、これほど破廉恥ではなかった!〉と記載した(以下、平成19年2月22日付記事を「本件インターネット記事1」、同2月23日付記事を「本件インターネット記事2」という=別表14、15=甲14、甲15)。 (2)さらに両被告は上記記載に加えて平成19年2月23日、 〈ついに、自分で認めた公選法違反詐欺登録、詐欺投票の事実!〉 との見出しのもと、 〈長期間、調査を続けていた、清瀬市民オンブズマンと東村山市民オンブズマンは、佐藤まさたか「市議」に、公選法違反・詐欺登録・詐欺投票罪(236条237条)の疑いが強いとして事実の公表に踏み切った。〉 などと記載した(別表15=甲15)。 (3)公職選挙法9条2項、10条1項5号、2項によれば、市町村議会の議員の選挙権及び被選挙権は、選挙の期日を基準として、引き続き3ヶ月以上その市町村の区域内に住所を有するもので一定の年齢以上の者がこれを取得すると規定しており、同法99条は「当選人は、その選挙の期日後において被選挙権を有しなくなったときは、当選を失う。」と定めている。したがって、本件インターネット記事1、2の〈佐藤まさたか「越境通勤市議!!」〉〈地方自治など知るもんか! 前代未聞の「越境通勤市議」〉〈ついに発覚した公選法違反詐欺登録・詐欺投票疑惑!〉との見出しは、「原告は東村山市内に居住の実体がないことを自覚しており、また東村山市内に居住の実体がなければ立候補できないことを知りながら、その事実を隠して立候補した上、現在も東村山市内に居住の実体がない」と主張するものであり、一般読者に対し「原告が東村山市議の資格を有しない違法な存在である」と印象づけるものである。 (4)また本件インターネット記事1、2は、本文において〈公選法違反を自覚した行動〉〈形だけ住民票を移して3ヶ月たったから、選挙権・被選挙権が行使できるわけではない。移した先で生活していなければダメなのだ。〉と、あたかも原告が、原告の住所が東村山にはないことを自覚しているかのように記載し、本件インターネット記事2において〈ついに、自分で認めた公選法違反詐欺登録、詐欺投票の事実!〉〈長期間、調査を続けていた、清瀬市民オンブズマンと東村山市民オンブズマンは、佐藤まさたか「市議」に、公選法違反・詐欺登録・詐欺投票罪(236条237条)の疑いが強いとして事実の公表に踏み切った。〉と付け加えることによって、読者に対し両被告の調査及び主張に信頼性と正当性があるかのように印象づけている。 (5)さらに本件インターネット記事2は、青森で起きた住所をめぐる公選法違反の実例を挙げつつ〈これほど破廉恥ではありません〉(青森の例は佐藤市議ほどには破廉恥ではないとの趣旨)などと記載し、実際に公選法違反に問われた例よりも原告の方が悪質であると断定した上、あたかも原告が公選法違反の事実を認めたかのように記載している。 (6)よって本件インターネット記事1、2はそれぞれ、原告が東村山市に居住実体がないにもかかわらず違法に立候補した上、現在も東村山市内に居住の実体がないにもかかわらず違法に東村山市議として活動しているとの虚偽の事実を摘示し、一般読者に対し原告が違法な存在であるかのような印象を与えるものであり、原告の東村山市議としての社会的評価及び信用を著しく低下させるものである。 (7)なお、本件インターネット記事2は平成19年2月23日以降、現在に至ってもなお両被告のホームページ上に掲示されており、現在もなお原告の名誉を毀損し続けているものである(甲23)。 3 FM放送「多摩レイクサイドFM」による名誉毀損 (1)被告FM及び被告矢野は平成18年12月6日から同年12月21日にかけて、被告矢野がパーソナリティを務める番組「ニュースワイド多摩」において、原告について、 〈公選法違反、詐欺登録罪などの容疑が深まっている問題の佐藤真和市議〉 と紹介し、また続くニュースで原告について、 〈公選法違反、詐欺登録、詐欺投票罪の容疑が深まっている佐藤真和市議が、関係者に対して自分の犯罪容疑を事実上認める発言をしていたことがわかりました。〉 〈佐藤市議は東村山市内で生活していなければ、公選法違反となることを知りながら、日野市内に生活したまま東村山市議会議員の選挙に立候補したことがわかりました。〉 〈公選法違反、詐欺登録、詐欺投票罪で問題となっている佐藤真和市議〉 などと放送した(別表16、17、19、21、22=甲16、17、18、19、21、22)。 (2)さらに上記放送に対して被告矢野は原告について、 〈佐藤真和市議が、公選法違反となることを知りながらですね、……東村山市からですね、の市議会議員に立候補したという、まさに公選法違反そのものにあたると思います〉 〈早く辞職することを潔い態度をとることをおすすめしたいと思います。〉(以上、別表16=甲16) 〈この佐藤真和さん、まあ、東村山の市議会議員ということになってるんですが、えー、今もってですねえ、……逃げ隠れする生活を今もって続けてるんですねえ。〉 〈カッコだけは東村山に生活しているフリをしなきゃいけませんから、えー、逃げ隠れする生活なんですけれども〉 〈問題になっている公選法違反の、236条、237条の詐欺登録、詐欺投票罪の、こういうことについてもですねえ、まったく説明責任を果たしてませんよね。〉 〈こういう無責任な人がですねえ、えー、選挙でえー、当選しました、えー、こうやるべきだ、東村山の町づくりはおかしいとかですねえ、そんなよけいなことをいう前に自分の頭のハエを追わなきゃいけませんよね。というような意味で無責任きわまりないなということだけは言っておきたいと思います。〉(以上、別表17=甲17) 〈議員の場合には、その自治体の、おー、区域内に、えー、住所を持って、住所を持ってるだけじゃだめで、えー、住民票を、住民登録をするだけじゃなくて、そこで生活をしているっていうことが最低の条件になります。だからこれが、満たされてないとですねえ、間違って当選してもですねえ、これは失格になりますから、えー、公選法の236条、237条、236条というのは詐欺登録罪、それから237条というのは詐欺投票罪ということになります〉 〈佐藤真和市議はですね、いさぎよく、うー、この東村山での政治活動を、おー、もう辞めてですね、辞職をされて、いさぎよくですね、日野にお帰りになって、家族4人でですね、静かに平和な暮らしを送っていただきたいと思いますね。〉(以上、別表19=甲19) 〈この佐藤真和さんという人の問題ですが、えー、公選法の236条詐欺登録罪、住民投票を、嘘をいって登録した、住民登録、住民票を移した。それから237条というのは、えー、その選挙権が本来ないのにですねえ、えー、投票をしたということで、詐欺投票罪ということが決められているんですが、えーっと、この佐藤真和さん、これまー、事実上認めているということが、ま、次々に明るみになっているんですが、〉 〈佐藤真和市議が立候補したとき、問題のですね、住民登録を偽ってしたんじゃないかという疑惑が深まってるわけですが、〉(別表21=甲21) 〈問題の佐藤真和市議はですねえ、公選法違反という、うー、詐欺登録罪、詐欺投票罪ということで、えー、容疑があるというふうに、えー、お伝えしてるんですが、〉 〈行政境、いー、市と市の境を越えて、えー、日野在住、日野市の在住の佐藤真和市議が出稼ぎで、えー、東村山の市議会議員をやってる〉(以上、別表22=甲21) などと発言した(以下、上記放送を一括して「本件各放送」という)。 (3)また、被告FM及び被告矢野は平成18年12月14日、被告矢野がパーソナリティを務める番組「ニュースワイド多摩」において、町田市長が政治資金規正法違反に問われたことを報じたのち、続けて原告について被告矢野は、 〈えー、東村山の、公選法違反、詐欺登録罪の、あるいは詐欺投票罪の佐藤真和市議についてもですね、同じようなことがいえると思いますので、潔い態度が必要だと思います。〉(別表20=甲20) と発言した。 (4)公職選挙法9条2項、10条1項5号、2項によれば、市町村議会の議員の選挙権及び被選挙権は、選挙の期日を基準として、引き続き3ヶ月以上その市町村の区域内に住所を有するもので一定の年齢以上の者がこれを取得すると規定しており、同法99条は「当選人は、その選挙の期日後において被選挙権を有しなくなったときは、当選を失う。」と定めている。したがって、本件各放送の〈公選法違反、詐欺登録、詐欺投票罪で問題となっている佐藤真和市議〉〈公選法違反、詐欺登録、詐欺投票罪の容疑が深まっている佐藤真和市議が、関係者に対して自分の犯罪容疑を事実上認める発言をしていたことがわかりました。〉〈佐藤市議は東村山市内で生活していなければ、公選法違反となることを知りながら、日野市内に生活したまま東村山市議会議員の選挙に立候補したことがわかりました。〉との放送部分は、「原告は東村山市内に居住の実体がないにもかかわらず立候補した上、現在も東村山市内に居住の実体がない」と主張するものであり、聴取者に対し「原告が東村山市議の資格を有しない違法な存在である」と印象付けるものである。また、上記(2)の被告矢野の発言部分は上記(1)の放送内容を具体的に述べるものであり、上記(3)の矢野の発言部分は、町田市長が政治資金規正法違反に問われたことを引き合いに出すことによって、原告もまた違法行為を犯していると聴取者に印象付けるものである。 (5)よって本件各放送及び上記(3)の被告矢野の発言部分はそれぞれ、原告が東村山市に居住実体がないにもかかわらず違法に立候補した上、現在も東村山市内に居住の実体がないにもかかわらず違法に東村山市議として活動しているとの虚偽の事実を摘示し、一般読者に対し原告が違法な存在であるかのような印象を与えるものであり、原告の東村山市議としての社会的評価及び信用を著しく低下させるものである。 4 上記のとおり、被告矢野及び被告朝木はあらゆるメディアを駆使し、原告があたかも公選法違反を犯しながら、その事実を隠蔽し、立候補および市議会議員の資格がないことを知りながら平然と東村山市議として議員報酬を得ているかのような宣伝を続けてきた。しかし、原告は平成15年1月以後、一貫して東村山市に生活の本拠を置いているのであり、原告の生活の本拠が日野にあり東村山市に生活実体がないという事実は存在しない。被告らの宣伝こそ平成19年4月に迫った市議選を前に、原告の東村山市民に対する信用を意図的に低下させようとしたものであり、極めて計画的かつ悪質な信用毀損行為にほかならない。 5 実際に当該市議選に際し、原告のもとには被告らの宣伝を目にしたと思われる市民から「東村山市民でもないのにおかしい」「市民をだますつもりなのか」といった批判の声が寄せられ、きわめて厳しい選挙戦を余儀なくされた。 第4 被告らの責任 1 被告矢野及び被告朝木は、紙版「東村山市民新聞」、インターネット版「東村山市民新聞」の発行人・編集人として、上記第3の1ないし2の記事を掲載、発行した者として、原告が被った損害を賠償すべき責任がある。 2 被告特定非営利活動法人多摩レイクサイドFMは上記放送を監督する者として、また被告矢野は上記放送の直接行為者として、原告が被った損害を賠償すべき責任がある。 第5 原告の損害 1 紙版「東村山市民新聞」による名誉毀損 被告矢野及び被告朝木が編集・発行する政治宣伝ビラ「東村山市民新聞」は東村山市内に毎号4万5000部発行されており、同ビラが平成18年9月から平成20年4月までの間に少なくとも12回にわたって東村山市内全域に配布されたことにより原告が被った損害は甚大であり、これを金銭に換算すれば金400万円を下らない。 2 インターネット版「東村山市民新聞」による名誉毀損 被告矢野及び被告朝木は、彼らが編集・発信するインターネット版「東村山市民新聞」において、あたかも原告が公選法違反の違法行為を犯しているかのような虚偽宣伝を平成19年2月22以降現在に至るまで継続して続けてきた。それによって原告が被った損害は甚大であり、これを金銭に換算すれば金400万円を下らない。 3 多摩レイクサイドFMによる名誉毀損 多摩レイクサイドFMの「ニュースワイド多摩」は1日に6回放送されている。したがって、被告FM及び被告矢野はあたかも原告が公選法違反の違法行為を犯しているかのような虚偽宣伝を原告が確認しただけで少なくとも42回にわたって繰り返してきたことになる。この虚偽宣伝放送によって原告が被った損害は甚大であり、これを金銭に換算すれば金200万円を下らない。 第6 結語 よって原告は被告らに対し、民法709条、同705条1項及び同2項、同719条、同723条に基づき、請求の趣旨1項及び2項の金員の支払い並びに同3項及び4項のとおり、謝罪広告の掲載及び謝罪放送を求めるものである。 以 上 証 拠 方 法 甲第1号証 東村山市民新聞第147号 甲第2号証 東村山市民新聞第148号 甲第3号証 東村山市民新聞第149号 甲第4号証 東村山市民新聞第150号 甲第5号証 東村山市民新聞第152号 甲第6号証 東村山市民新聞第153号 甲第7号証 東村山市民新聞第154号 甲第8号証 東村山市民新聞第155号 甲第9号証 東村山市民新聞号外(平成19年3月9日付け) 甲第10号証 東村山市民新聞第157号 甲第11号証 東村山市民新聞第158号 甲第12号証 東村山市民新聞第159号 甲第13号証 東村山市民新聞第160号 甲第14号証 インターネット東村山市民新聞(平成19年2月22日付) 甲第15号証 インターネット東村山市民新聞(平成19年2月23日付) 甲第16号証 多摩レイクサイドFM反訳(平成18年12月6日放送分) 甲第17号証 多摩レイクサイドFM反訳(平成18年12月7日放送分) 甲第18号証 多摩レイクサイドFM反訳(平成18年12月12日放送分) 甲第19号証 多摩レイクサイドFM反訳(平成18年12月13日放送分) 甲第20号証 多摩レイクサイドFM反訳(平成18年12月14日放送分) 甲第21号証 多摩レイクサイドFM反訳(平成18年12月18日放送分) 甲第22号証 多摩レイクサイドFM反訳(平成18年12月21日放送分) 甲第23号証 インターネット東村山市民新聞(平成20年6月3日付) その他必要に応じ、口頭弁論において提出する。 付 属 書 類 1 訴状副本 3通 2 証拠説明書 3通 3 甲号証 各3通 別紙1 謝 罪 広 告 東村山市民新聞は平成18年9月以降これまで、東村山市議会議員の佐藤真和氏に対し、同氏が「越境通勤市議」で「公職選挙法違反」をしたなどとの記事を掲載してきました。 しかし、同氏が「越境通勤市議」で「公職選挙法違反」をしたとの事実はいっさい存在せず、記事は佐藤氏の名誉を著しく傷つけるものでありました。よって佐藤氏に関する「越境通勤市議」、「公職選挙法違反」をしたなどとの部分をすべて削除するとともに、佐藤氏に対し心よりお詫び申し上げるものです。 平成 年 月 日 東村山市民新聞発行人 東村山市議会議員 矢野穂積 東村山市民新聞編集人 東村山市議会議員 朝木直子 別紙2 「謝罪広告」の4文字は20ポイント、その他は14ポイントで、「東村山市民新聞」の題字の下の蘭の写真の真下に掲載すること。 別紙3 謝 罪 放 送 「ニューワイド多摩」では平成18年12月13日東村山市議会議員の佐藤真和氏に対し、同氏が「越境通勤市議」で「公職選挙法違反」をしたなどとの放送を行いました。 しかし、同氏が「越境通勤市議」で「公職選挙法違反」をしたとの事実はいっさい存在せず、この番組での放送内容は佐藤氏の名誉を著しく傷つけるものでありました。よって佐藤氏に関する「越境通勤市議」、「公職選挙法違反」をしたなどとの放送部分をすべて取り消すとともに、佐藤氏に対し心よりお詫び申し上げるものです。 平成 年 月 日 多摩レイクサイドFM理事長 パーソナリティ 東村山市議会議員 矢野穂積 別紙4 「謝罪放送」は3日間、「ニュースワイド多摩」の放送ごとに、放送の冒頭で被告矢野自身により「まずお詫びを申し上げます」と聴取者に告知した上、被告矢野が聴取者に明確に聞き取れる状態でゆっくり読み上げること。 (了) ソース:佐藤まさたか市議ブログ 2009年9月26日:ページ作成。
https://w.atwiki.jp/ja2047_memorial/pages/192.html
11月20日10 17 世界の翼 昭和19年版 昭和17年、昭和18年、と来れば、昭和19年版というのが出てこなくちゃ行けないのですけど、これが見つかりません。 昭和18年航空決戦版の次ですから、昭和19年神州不滅版、で、昭和20年一億総懺悔版と続くかというと、これが確認できないのです。 写真は、戦後復刊第一号の1952年版ですが、序とか編集後記にその辺の事情が書いてあるかというと、何もない。 いや、あるんですけど、何と英語で書いてあるのですね。 This is the first “YEAR BOOK of the WINGS OF THE WORLD” published in Japan by ASAHI SHINBUN since 1944, and, the same time, this is the seventh one when counted from the earlier publications of the sort first published in 1937. とあります。 「1944年以来のもので、1937年の創刊以来7冊目である」となっている。 私が存在を確認しているのが「昭和14年版」「昭和16年版」「昭和17年大東亜戦版」「昭和18年航空決戦版」の4冊であり、上記序文によれば、これに加えて「昭和12年版」と「昭和19年版」があることになるのでしょうか、是非一度確認したいものだと思っていますが、まだ果たせません。 国会図書館も所蔵していないようです。 上の写真が戦後第一号の1952年版なのですが、1942年版が零戦デビュー号であることを考えると、この時代の10年間の航空機の進歩に驚かされます。 航空機の外見上の進歩は1970年頃までで一旦止まり、1969年初飛行のボーイング747ジャンボが骨董品でもなんでもなく、いまだに現役であるのはご存じのとおりです。 「世界の翼」はこのあと、1982年までほぼ毎年続いて休刊しています。 コメント 2005年11月22日 06 19 南蛮お賀茂 こんばんわん、ja2047さん(^-^) 「歴史修正主義コミュ」から来ました。 今日入会後会員の方のぺージを一通り眺めたのですが、ここ一番印象に残っておりました(本当よ)理由は二つありまして・・・一つ目は高所恐怖症(爆)二つ目は、子供の頃零戦やら戦艦やら空母やらプラモで遊んだからです(←父が予科練の人間だったので、親の趣味) 時々覗かせてください!ではとりあえず挨拶のみ 金魚が好きなただのオバハン、南蛮お賀茂より 2005年11月22日 20 58 ja2047 一つ目は高所恐怖症(爆) こおしょきょおふしょお? なんかよく解りませんでしたが、自慢じゃないけど私も高いところは苦手です。 よくもまあ、そういう人間が”ぜえげるふりいがあ”の端くれなどやってるもんだと、自分でも不思議です (^O^ 戻る
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藤本晶子プロフィール 入社年 平成19年 出身地 山口県防府市 血液型 A型 普段なんと呼ばれているか ふじもっちゃん、ふじもん、しょこたん 趣味 DVD鑑賞(ジブリ作品を何度も観ています)ドライブしながらの一人カラオケ 自慢の特技 いつでも、どこでも、何度でも眠れる 担当番組 FNN東海テレビスーパーニュース (月~金) #blogsearch2
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株主配当総額361,634,403 [Q] 一株あたり7,131 [Q] 国民配当総額197,258,490 [Q] 一人あたり2,435,290 [Q] 銀行納税額67,000,000 [Q] 守令給料13,400,000 [Q] マケ納税額220,000,000 [Q] 守令給料44,000,000 [Q] 証券納税額40,000,000 [Q] 守令給料8,000,000 [Q] 狩猟場納税額 622,000,000 [Q] 守令給料 186,600,000 [Q] 倉庫納税額88,000,000 [Q] 守令給料17,600,000 [Q] 郵便納税額 56,000,000 [Q] 守令給料 11,200,000 [Q] ギルド納税額 28,000,000 [Q] 守令給料5,600,000 [Q] 牧場納税額 5,000,000 [Q] 守令給料1,000,000 [Q] 国庫 48年度繰越金 814,451,310 [Q] 給料返還分287,400,000 [Q] サブ国民配当及び寄付金302,705,800 [Q] レベルアップ支援金▲112,500,000 [Q] 人形買取▲49,500,000 [Q] 召還獣進化支援 ▲25,000,000 [Q] 狩猟場守令給料 ▲30,000,000 [Q] 商業部経費 ▲6,593,000 [Q] 国庫運用利益833,578,650 [Q] 50年度国庫期首2,014,542,760 [Q]
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#blognavi 今年度の国内研修旅行は広島へ行きました。参加者が5人という少し寂しい状況ではありましたが、宮島や広島市内にある広島平和記念公園を訪れ、広島の歴史に触れることができ(少し食文化も学びつつ・・・)、大変有意義な研修旅行となりました。 今回の参加者がこの研修旅行で学んだこと、感じたことなどを紹介します! #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (200802.jpg) 平和記念資料館にて 涙をハンカチで拭っている他の来場者の方の姿を見ました。私も、こみ上げてくるものがあり目頭が熱くなりました。写真や資料を見ると、多くの犠牲になった方々の苦しみが伝わってきます。改めて、戦争の悲惨さを痛感しました。(ちょえ) 個人的に初めての世界遺産を訪ねる旅行となった。負の遺産とも言える原爆ドームと、海に浮かぶ朱色の社殿が見事な厳島神社。歴史や記憶や思いというものを、形として残していくことはとても大事なことだと思った。(M・小松) 広島平和記念資料館を訪れ、いろんな面での人間のすごさを改めて感じた。原爆によって町を壊滅させたのが人間であれば、全壊・全焼した町を復興させたのも同じ人間、まだまだ人間には可能性があると思う。世界恒久平和だっていつの日か・・・。(恒ちゃん) 日本三景かつ世界遺産の宮島、神聖な場所として守られているのだと実感したのが島の植生でした。自然が残るには保護すべき理由と条件が整う必要がありそうです。小学校の修学旅行で出向いてからは随分と時間が経ち、初の広島とも言える新鮮な旅となりました。(T月くん) 今回の研修旅行は広島の歴史に触れる旅となりました。宮島の厳島神社や広島平和記念公園など、それぞれ時代は違えど広島の歴史の産物であり、それを自分の目で見て、肌で感じることが出来たこの旅は、私にとってとても感慨深いものとなりました。(かえだままん) カテゴリ [青年タイムズ] - trackback- 2008年02月29日 18 11 21 #blognavi
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加配制とバイリンガル教員を文末に批判・問題点をちょろっと書く 加配制とバイリンガル教員を紹介して、その問題点(少数の学校には行き届いてない・人数足りないなど)を改善するものとして政策提言を行っているので、そこを少し批判して、「私たちはこれらは不備があると考えるため、これらに変わるものとしてセンター校日本語教員付バージョンを提言します。」っていう論にもっていく。 日本語学校の中にはプロがいるって内容を触れる ふれよう!!笑 そして直説法って?? 岩田小の話を 例を挙げると、在日ブラジル人子女が多く在籍している愛知県豊橋市の岩多小学校では、967人の全校児童に対して152人の外国人児童生徒が在籍(比率15.72%)しており、その9割がブラジル人である(平成19年度)。この学校では外国人子女への教育を積極的に行い、加配教員などの派遣が行われているのであるが、日本語指導担当が5名・市外国人教育相談員(常駐)が2名・ボランティアが1名であり、計8名で152人の外国人教育支援を行っているのが現状である。 によると、加配教員は、外国人子女の人数が;;人を超えると@@名必要であるとしているが、1名の加配教員で外国人子女を支援するのは■人が限界である、ということだという指摘もある。それと比較しても、岩多小学校では十分な加配教員が配置されているとは言い難い。(ゆかつん!!あかぎちゃん!!このへんの文献たしか持ってたやんなぁ!??) 平成19年度 岩田小学校外国人児童教育について http //www.iwata-e.toyohashi.ed.jp/iwata-e/TopPage/jittai.pdf 日系と在日の定義 かみつさんがちょろっと書いてたからそれでいいかもやけども。。 母語と母国語の定義 だれかいい文献持ってる人いませんか?? 「ブラジル人学校」の説明 ここでいうブラジル人学校とは、日本国内にあり主にブラジル人が通う学校のことである。ブラジルの教育省に認可されているが、文部科学省の認可を受けていないため、各種学校としての扱いになる。教授言語はポルトガル語を使用し、祖国ブラジルの大学に進学できるカリキュラムを敷いている。 長期中期短期目標のとこを政策提言でカットして問題意識のとこでちょろっと入れる 数字のフォントの統一 しよう!!笑
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必要ないかもしれないけど,履歴書の書き方的なものについて書いてください. 自分の書いている内容を書いてアドバイスなどをもらったりするのに利用してもいいね! 資格 自動車免許の名称。 平成19年6月より前なら「中型自動車(8t限定)免許」 後なら「普通自動車免許」 志望動機 貴社と御社 基本は「貴社」。面接など会話の上では「貴社」だと同音異義語が多いので「御社」となる。らしい。
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平成17年 8月 生活文教委員会記録(第3回) 平成17年8月25日(木) 午前10時 1.議 題 1.17請願第3号 久米川クレーコート、人工芝化を求める請願 2.副委員長の辞任について ―――――――――――――――― ◇ ―――――――――――――――― 〔議題1〕17請願第3号 久米川クレーコート、人工芝化を求める請願 ◎肥沼委員長 審査に入る前に申し上げますが、携帯電話、カメラ等の委員会室への持ち込みの禁止が集約されております。本委員会室への持ち込み並びに使用は禁止いたしますので、御承知おき願います。 ○朝木委員 コートに対する予約システムの件ですけれども、1つのコートに対しての申し込み人数というか、その競争率みたいなものはわからないとおっしゃったように聞こえたんですが、その競争率みたいなものは実際にわからないんですか。 △菊池市民スポーツ課長 予約システムの中では、何人の方が申し込んだというところまでは把握できます。その他、抽せんから漏れた方がどう次に使われるかというのはわからないということでございます。 ○朝木委員 ほかのスポーツ施設に比べて、やはりこのテニスについては申込者が多くて、利用者にとっては逼迫している状況だという認識はお持ちなんでしょうか。 △小町教育長 やはりスポーツにはいろいろありまして、施設は限られておりますので、人口によって密度というのは変わってきますね。それを、先ほど言ったように、どれだけ多くの人に仲よく、市民融和をもってスポーツを楽しんでいただくかということを常に基本に考えております。例えば、スポーツセンターにあるのは卓球15台ですけれども、今、この辺で15台あるのは東村山市だけなんですね。今、卓球人口は非常に多くなってきたんですけれども、そういう面で、なるべく1台で2名よりも、1台で5人なり6人、あるいは最低4人、ダブルスができるような利用の仕方を工夫して、今まで考えてきたということでありまして、その辺を御理解いただきたいと思います。 ○朝木委員 ほかにもスポーツ施設、卓球とかいろいろなものがありますね。その中で、バランスという意味で、確かにテニスコートは整備して改善すれば一番いいわけですけれども、ほかのスポーツ施設はどんな利用状況というか、この請願に載っているのは、テニスでは使えないというようなことが書いてあるんですけれども、ほかのスポーツ施設についてはどのような状況ですか。参考のためにお聞きしたいんですが。 △小町教育長 例えば野球は、御存じのように、運動公園だけが市の唯一の野球場です。あとは、民間なりをお借りしているわけです。しかも、運動公園を1チームで4時間も5時間も使うということがあってはいけないので、すべて施設は、2時間単位でやっていただくということです。(「野球もですか」と呼ぶ者あり)ええ。他の施設も、2時間が基本だと考えています。また、学校はもちろん使用料は取っていないですけれども、学校の施設も、2時間をベースにして貸し出しをしております。